先生、運動場はあるのに水泳場はないんですか。

先週の大学の授業「言語習得概論」で。

 

今回は、第二言語習得がテーマということで、
私がかつて韓国人留学生に書かせた日本語作文を、

受講生(ほとんどが日本人)に添削させて
みました。

 

この作文授業というのが、授業のはじめに映画
「ウォーターボーイズ」の最初の数分を見せ、
その内容を日本語で書かせるというもの。

 

こうすると、文章の内容や構成を考える必要が
ないので、いきなり作文活動に行けるのです。

 

で、この授業を受けた留学生の作文の冒頭の一節が、

「まづ、水泳場には大会がありました。」

 

たったこれだけの文でも、四つ仮名のルール
とか、場所を表す「に」と「で」に違いとか、

さらに、「あります」なのに「で」を使う場合
とか、

添削ポイント(=私の解説ポイント)満載です。

 

(ちなみに、皆さんはこの一文をどう添削し、
この学習者にどう指導しますか?)

 

で、「水泳場」という言葉が気になった私は、
受講生たちに、

「こういう時、『水泳場』という言葉は
使いませんよね。」

と投げかけたところ、一同同意。

 

ところが、この授業を受講している唯一の外国人
である韓国人女子留学生が、

「先生、『水泳場』とは言わないんですか。
『運動場』はあるのに『水泳場』はないんですか。」

と言ってきました。

 

よくよく聞くと、韓国語には「運動場」と同様、
「水泳場」という言葉があり、

韓国では普通に使われていて、まさか日本では
この言葉がほとんど使われないなんて知らなかった
とのこと。

 

しかも、国語辞書に載ってるし。

 

「なるほど、だからかつての留学生は『水泳場』
という言葉を使ったのか。」

と今になってようやく理解しました。

 

学習者の誤用の中には、このように母語の語彙や
語構成が原因で起こるものもたくさんあります。

 

ましては、今回の「水泳場」のように、
国語辞書に載っている語であればなおさら
抵抗感なく使うでしょう。

 

しかしながら、そこでうっかり使ってしまうと、

「まづ、水泳場には大会がありました。」

のような文を作ってしまうんですね。

 

こうした問題を解消するには、やはり実際に
作文を書いた学習者に

「どうして、こう書いたの?」

と聞いてみるのが一番。

 

もし、それができない場合は、同じ母語話者に
聞いてみてもいいですね。

 

そこからいろいろなことが分かります。

作文添削、誤用分析、深いです(^_^)


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