検定試験出る問シリーズ(13)-複言語主義と多言語主義の違い。
ヨーロッパの言語政策と言えば、「CEFR」つまり
「ヨーロッパ言語共通参照枠」ですね。
ちなみに、「CEFR」は「セフアール」と読みます。
で、このCEFRの根底を担う理念が複言語・複文化主義。
この辺りは、検定試験でもよく出題されていますので
しっかり覚えておきましょう。
ところで、この複言語主義とよく似た言葉に
多言語主義というのがあります。
この用語も検定試験では頻出。
で、どう違うのか。
簡単に言うと、
複言語主義は一個人が複数の言語を使いこなす
言語能力・言語活動に注目した概念であり、
多言語主義はある社会に複数の言語が横並びで
存在する状況に注目した概念です。
もう少し詳しく言うと、
複言語主義が目指す状況というのは、
例えばある個人が、(語学力はともかく)
英語とドイツ語と日本語を、
話し相手やその場の状況に応じて自由に
使いこなしながら、
臨機応変に課題をこなしていく状況を
言います。
一方、多言語主義が目指す状況というのは、
例えば、Aという国には
英語を話す人もいれば、
ドイツ語を話す人もいれば、
中国語を話す人もいれば、
日本語を話す人もいるんだけれど、
どの人も母語の違いによる不利益を受けることなく
平等に暮らしている状況を言います。
毎年冬になると、私の研究室に本学を卒業して
現在、中国人の旦那様をはじめご家族で
シンガポールに住んでいる中国人の元留学生が、
小学生のお嬢さんを連れて訪ねてきてくれます。
彼女の話によると、シンガポールは様々な
母語話者がいて、
みな、ほかの母語話者と一緒に仕事をしたり
かかわりあったりしているので、
一人が数か国語話すのは当たり前だとのこと。
お嬢さんが通う小学校は、授業は英語で行い、
第二外国語の授業もあって、
(お嬢さんは中国語をとっていて、
簡単すぎるとのこと。)
中学校では第三外国語の授業もあるのだとか。
(さすが、PISA調査世界一の国ですね。)
これなどはまさに複言語主義と言えるでしょう。
それにしても、子どもの時から3つもの言語を
使いこなすなんて、すごいですね。