「まづ、水泳場には大会がありました。」(その2)
前回からの続き。
このシリーズは、先週実施した検定会員
限定のオンラインサロン
「篠研サロン-検定対策部」
で行ったものです。
とてもためになりますので、いいなと思っ
たら、ぜひ通信講座にご入会くださいね。
で、前回、作文が苦手な学習者でも進んで
作文活動をする以下の指導法を紹介しました。
1.YouTube動画を数分間見せる。
2.今見たものを制限時間10分で、そのまま
作文に書かせる。
3.書いた自分の作文の文字数を数えさせる。
4.クラス全員で動画の内容を軽く確認したり、
語彙や表現を導入する。
5.再度同じ動画を見せ、作文を書かせる。
その際、1回目より文字数が多くなるよう
に指示する。
6.書いた作文の文字数を数えさせる。
7.1回目より文字数が多かった学習者に挙手
させる。
で、当時学習者に見せた動画がこれです。
ウォーターボーイズ
https://www.youtube.com/watch?v=dtK3eivVh-s
(サロンよりも画質のいい動画を見つけま
した。)
この映画の最初の3分間を学習者に見せ、
「はい、今あったことをそのまま文章で
書いてください。」
というわけですね。
そうすると、学習者は一斉に文章を書く
わけです。
で、そのうちの一人、韓国人の男子学生が
書いた文章の一文目がタイトルでもある
こちらの文。
「まづ、水泳場には大会がありました。」
いかがでしょうか。
最初に目につくのは、やはり「まづ」
ですね。
正しくは、「まず」。
これは、日本語教師ではなくても日本人
であれば簡単に指摘できます。
問題は、なぜ「まづ」はダメで「まず」
でなければならないのか。
これを、学習者にわかるように説明する
ということが、日本語教師としての腕の
見せ所。
ここで、
「なるほど!こういう時に検定試験で勉強
した四つ仮名の知識が活きてくるのか!」
とピンと来たら、検定試験の知識が仕上がっ
てきた証拠です(素晴らしい!(^_^))。
結論から言うと、[zi][zu]は基本的には
「じ」「ず」と表記するが、
例外的に、
▼同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」
▼二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」
は、「ぢ」「づ」と表記する。
知識の源泉は、昭和61年に出された内閣告示
「現代仮名遣い」です。
現代仮名遣い
https://bit.ly/3opRsDo
これの「本文 第2」の5に書かれています。
現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による
特例)
https://bit.ly/3yeOCpr
もちろん、これをそのまま学習者に言っても
分かりにくいでしょうから、例えば、
「[zi][zi]は基本は「じ」「ず」と書きます。
でも「ちぢむ」、「つづく」、「かたづける」
は「ぢ」「づ」と書きます。」
と指導すればいいでしょう。
学習者の生の誤用を見るにつけ、検定試験の
知識がいかに重要か、
ご理解いただけましたでしょうか。