動詞タ形が現在とどうかかわっているか。
冒頭で、留学生が日本語のタ形の用法について
いろいろ知ったという話を紹介しましたので、
その内容をちょっとだけ紹介しますね。
(またまた輸血レベルの大量出血大サービス(^_^))
通信講座「篠研の検定対策」5月23日(水)配信
「No.023 テンス」
より。
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◆タ形の用法
・タ形の基本的な用法
日本語の動詞(場合によってはイ形容詞やナ形
容詞を含む。)の過去を表わす形をタ形、過去形
と呼びます。
タ形の基本的な用法は、過去の出来事や性質(16)
(17)、現在につながる過去の出来事やその結果
(18)~(21)があります。
(16)先週の日曜日、家族で旅行に行った。
(17)昨日の夜、急に頭が痛くなった。
(18)私はずっとここにいたよ。
(19)地球は青かった。
(20)あのモデル、随分やせたね。
(21)確かにここに寿司屋があったんだけど。
ここで注意すべき点は、それぞれのタ形を含んだ
文が現在とどうかかわっているかということです。
(16)(17)は、単に過去の出来事を述べただけで
現在とのかかわりについてはまったく触れていませ
ん。
一方、(18)は過去に「いた」だけでなく現在もそ
のよう状態が続いていることを表しています。
また、(19)は、「地球が青い」という事実は現在
も続いているものの、それを認識したのが過去であ
るということを表しています。
さらに、(20)は過去の「あのモデル」は痩せてい
なかったという事実を踏まえたうえで、「痩せてい
る」現在の状況をタ形で表しています。
この場合、過去の「あのモデル」の状況を知ってい
るということが前提となっているわけで、
「あのモデル」を初めて見た人が(20)のような表
現をすることはできません。
(20’)(「あのモデル」を初めて見たとき)
あのモデル、随分( *やせた やせてい
ます )ね。(*は非文を表す。)
加えて、(21)は過去において「あった」事実を
表していると同時に、現在は「ない」という事実も
表しています。
このように、文末の述語の意味や性質によって、
現在とのかかわりという点でタ形はさまざまな意味
解釈をもつのです。
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学習者に、
「どうして私の(かつての)日本語の先生は、
もっといろいろなことを教えてくれなかった
んだろう。」
なんて言わせないためにも、
ここまでの知識をしっかり持ったうえで授業に
臨みたいものですね(^_^)。